強いポケモンの育てかた

「進化するLvがいくつでも最終的には変わらない」「ドーピングで見た目のパラメータを揃えても、成長させると本来の伸び率に従う」のように、当時としてはなかなか画期的な検証を行っているのが印象的だった。「低いレベルから育てたほうが強くなる」というのは実質的に意味がない（本当に大事なのは戦闘回数による基礎ポイント＝努力値の蓄積）が、当時としては仕方ないだろう。妙な点もある。例えば複合タイプは双方の相性が影響するという結論は正しいが、その検証過程が滅茶苦茶（相性を間違えている上に、技を受ける側のパラメータを考慮せずにダメージのみを見ている）だったりする。他にもポイントアップが無制限に使えるかのような、試せば一発でわかるような間違いも。また技の評価項目にPPを含めているので、対戦向けかシナリオ攻略向けかのピントがボケている感がある。前半部分が育成コラム集と技データで、後半はポケモン個別のデータとなっている。進化前後を1系統として、入手から40Lv分だけ育てたときの能力変化グラフやおすすめ技を解説。これも当時としては画期的。全ポケモンのLv100パラメータのみを載せた本はあるが、この本はより細かい成長過程が見られる。余談になるが、今になって読み返すと成長システムの妙を改めて実感する。育て始めの頃はLvがすぐ上がるので戦闘回数が少ない＝努力値が入りにくい一方で努力レベルはすぐ上がり、Lvが上がってくると逆に戦闘回数は増えるが努力レベルの上がりが鈍くなっているので、普通にプレイしていれば結果的にはどのLv帯でもほぼ同様の育ち方をするというわけだ。ポケモンごとにおすすめ技も紹介している。タイプ一致をメインに技マシンで攻撃範囲を広げるのが基本だが、なぜかカビゴン・ケンタロス・ガルーラ・ペルシアンはノーマル技で埋めている。ピクシーやプクリン、ラッタでさえ技マシンを使っているというのに。また急所に当たると能力変化が無意味になることに気付かなかったり（「剣の舞or嫌な音→切り裂く」コンボ推し）、毒タイプが「毒々」を使うと効果が高まるかのような誤解をしている節がある。奥付を見ると、編集やデータ調査に数多くの社内スタッフが関わっている模様。一貫性の無さや記事・ページごとの完成度にばらつきがあるのはそのためか。なにせT2出版は「ポケモン推進委員会」なる社内同好会（？）を有しているのだ。ポケモンというゲームへの愛は感じるので、まだまだ未完成で荒削りな調査報告といったところかな。